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2016年10月27日 (木)

アビちゃん

今回のアイスショーでメイクを担当する永瀬博巳さん家族と愛犬フラットコーテッドレトリバー、アビをご紹介します。

永瀬さんは美容院UNIXの執行役員、営業本部長さんでした。UNIXとは全30店舗以上あるチェーンでヘア、メイク、着付け、エステ、自社商品開発などなど扱う巨大組織であり永瀬さんはUNIXのトップに登りつめた伝説の美容師です。

そしてアビは私がケイドックをやる前のドッグラン時代のお客様でした。

私とアビが出会う少し前看護とトリミングの専門学校に行きながら、週1だけ大学で動物行動学を学んでいました。
学生の頃はあちこちの愛護団体のボランティアにも行き、そこでなんちと出会いました。
しかし過酷な状況からなんちはパルボウイルス感染症で生死をさまよい、分離不安症候群になり私の姿が見えないだけで家を破壊しました。
少し目を離すと歯茎から血をだす殆柱やケージを壊して私を追いかけ様としました。
動物病院をまわっても「安楽死対象です」といわれ訓練所に連れていくとリードを噛み切って逃げるか帰宅するとストレスで家を破壊しました。
最後の望みをかけてアメリカの動物病院で行動学を学んでカウンセリングをされている獣医師さんを尋ね向精神薬と行動治療により落ち着きました。
たまたま先生が本を出版されるとの事でなんちがモデルを頼まれました。
先生は大学の講師もされていましたので、そこで勉強もさせて頂きました。

今思うとひょっこり尋ねてきた患者にここまでしてくださるのはあり得ないお話なのですが、当時はなんちを治すのが必死で藁を掴む気持ちで勉強しました。
「私が治さないとなんちは安楽死になってしまう!」そう思っていました。

しかし大学は山梨にあり、専門学校と並行はかなりきつく、体調も悪かったので専門学校に行っても原因不明で倒れる様になりました。
今は病名が分かり「下垂体機能低下症」という脳が変形しホルモンがでない病気でしたが
症状としては常にだるく、熱がでて、手も震えて、視野も定まらなくでも原因がわからずその悩みを誰にも言えずにいました。

看護の時間手が震えて注射針が自分の手に刺さったりトリミングをしていても途中で倒れたりと私は何も出来ないのだと完全に自信を失っていました。

就職の時期になり私はキャリアが動物だけではなかったので出版社も含め数件お話を頂いたのですが、なんちを優先に考え雇われ経営者になり在宅で仕事をし自宅の庭にドッグランをたてそこも運営する事になりました。
この方法ならずっとなんちの側にいれたからです。
その時にしつけを担当した第1号のお客様が永瀬家のアビでした。

アビは毎週末私の所にきてくれました。
永瀬家は子供が3人いて多忙なご家族でしたので、長期で私がお預かりもしました。
なんちと姉妹の様に気があっていました。

ご夫妻が美容師さんとお聞きしていましたが
私はいつもジャージでスッピン、髪もボサボサでしたので美容院に行くのは半年に一回ぐらい。失礼ながらUNIXがどれだけ凄いかも知らず街の小さな美容室と同じイメージをしていました。

ある日ドッグランで永瀬さんが私に聞いてきました。
「トリミングはしないの?」
私は「トリミングは苦手だから。私にはむいてないの」そう答えました。

そうしたら永瀬さんは横にあった私のトリミングボックスから学校で配布された学生の練習用のハサミを取り出しました。

「そのハサミ学生のおもちゃだし刃欠けてるから全く切れませんよ」と言ってる瞬間

「大丈夫、大丈夫、そんなの関係ないよ」と言いながら突然アビをカットしはじめました。


「犬のカットってさ、ボウズをハサミで切る感じかぁ〜」と笑いながら曲線もバリカンのスピードより速く切ってしまいました。


絶句でした。

ハサミのスピードが速すぎて見えません。
角度もラインも全て正確

学校では「ハサミが悪いから綺麗に切れない」と先生たちは言ってました。
更にそれからしばらく放置していたので刃先はボロボロです。

失礼ですが学校の先生でもこれだけ上手い人は見た事がありません。
というか生きててこんな人をみた事がありませんでした。

その時私は悟りました。

トリマーさんと話をしていると

やれハサミのグレードが悪い
やれトリミング室が小さいから出来ない
何が悪い、これが悪いから出来ないと
耳にしました。
犬を一頭カットするだけにこんなに
備品と環境が必要なぐらい大変な仕事
なのか!と更に敬遠していたのですが、

ハサミ一本とシンクとハンドドライヤーがあれば十分できてあとは自分の技術と努力の問題なのだと、永瀬さんのカットする姿を見て思いました。

「私でも努力すればトリミングが出来るかもしれない」その時思えました。
そして私はトリミング用品をもう一度整理し、トリミングのあらゆる動画をみて動きを全部覚えました。

イメージトレーニングとデッサンをしていたらいつの間にかトリミングが出来る様になっていました。
「私は出来ない」と思っていたのはただの思い込みで練習不足なだけでした。

今ケイドックにトリミング業務があるのは永瀬家とアビのおかげなのです。
アビが私の元にきてくれなかったら今はありません。

アビは9歳で亡くなりました。
足に癌ができて神経を圧迫し痛くて泣き叫んでいたので切断しましたが1ヶ月後すぐに逝ってしまいました。

今沢山の命をお預かりしていますから、私が心を閉ざしてしまったら他の命が守れません。
でもアビが私を追いかけてくる姿は今も鮮明に思い出します。

今回のアイスショーは衣装チェンジに15分頂いています。
永瀬さんは出演もされますので本当に15分で出演者全員のメイクチェンジをします。

「15分で大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫」
としかお返事がありません。

11月3日
スケートリンクのバックヤードで
また新しい伝説が作り上げられます。




ドッグランです。
家の駐車場を木で囲い人工芝を敷き詰めた小さいドッグランでした。
動物たちといる為にどうしても欲しかった場所です。
真夏の炎天下でも真冬の寒さも関係なく地域の方々がきてくださり人工芝が裂けてボロボロになるぐらい走り回りました。
自由に遊ばせて1日中犬の行動を観察していましたので行動学が勉強できました。
飼い主さまが何を求めているかも自然に知れました。
今のケイドックのフリーケージのスタイルはこれが原点です。
手前に写っているのがアビです。
私が別の場所にいてもすぐにわかる可愛い子でした




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